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  1. 2017/08/01(火) 14:03:44|
  2. もくじ

岩おはぎ

岩おはぎ ・・・このイラストは、神奈川県の施設訪問ボランティア団体"ワンハート"さんのご依頼で描かせてもらいました



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おはぎは、その家、その家の味を表していた。
あげたりもらったりして、どれくらい自分の家のおはぎと味が違うかがわかったものだった。

ものすごくあんが甘いのがあったり、塩がきいているのがあったり、さらしあんのおはぎしか作らない家もあったり、つぶしあんときなこの両方を作るという家もあった。

大ぶりなもの、小ぶりなもの。
十人いれば十種類のおはぎが集まる。だけどそんな習慣もいつしかなくなり、彼岸近くになると、スーパー・マーケットにおはぎが並び、それをみんなが買う時代になった。
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小豆を煮るのはとても手間がかかる。何年か前、私は小豆を煮て大失敗をした。
豆をふやかし、延々と煮ていたのであるが、小豆というものは、調味料を入れて煮ても柔らかくなると思っていた。

しかし、砂糖を入れたら最後、小豆はどんなに煮てもその時点の固さのままで、柔らかくなることはない。

そんなことを全然知らなかった私は、いつまでたってもころころしたままの小豆を、ヘラでつっつきまわしながら、
「変だなぁ」
と首をひねっていた。

そして本を調べてやっと、柔らかくなった時に砂糖を入れるのを知ったのだった。
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「私なんか、一所懸命おやつを作ってもさ、子供が、まずいっていうの。
 とにかくおふくろの味よりも、スーパーの味のほうが、ずっと好きなのよ」と友だちは言う。

子供のためによかれと思って手間をかけても、
「まずい」
と言われたら、そりゃ、2度と作りたくないと思う。だけど私は一度、おはぎを作ってみたかった。
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おはぎはあんがポイントである。
あんさえちゃんと出来れば、あとはきっと簡単だろうと私は考え、つぶあんのおはぎ作りに挑戦した。

小豆の煮方は本によりさまざまだったので、いちばん簡単な和菓子の本のとおりに煮てみる。
豆はふやかさず、水洗いしてそのまま煮る。

しぶが出てくるので、煮汁を捨て、また水から煮ていく。
それを何度か繰り返して柔らかくしていくのである。

つぶあんもさらしあんも、小豆を柔らかく煮るところまでは一緒である。
さらしあんはそれからひと手間、ふた手間をかけなければならない。

つぶあんは柔らかく煮えたら砂糖を入れて煮詰めておしまい。
私はさらしあんよりもつぶあんのほうが好きなので、迷わずつぶあんのおはぎにする。
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煮汁をゆでこぼしながら小豆を煮ていくと、何だか、いい具合である。
「よしよし」小豆のご機嫌をうかがいながら、

「まだかなー、まだかなー」
とただ、ひたすら待ち続ける。

むくれているガールフレンドの機嫌が直るのを、じっとおとなしく待っている彼氏のようなものである。
本には最終段階からだいたい1時間と書いてあったのだが、私の買った豆はどういうわけだか、1時間たっても、それほど柔らかくならない。

いつまでたってもコロコロしている。
「もしかしたら、ばあさん豆だったかもしれない」

水分をいっぱい含んだ、若い娘みたいなぴちぴち豆だったら、外から水分補給をしなくてもいいが、
ぱさぱさのばあさん豆だと、水分補給に時間がかかるというわけである。

それにしても時間がかかる。何度、鍋の中をのぞいたことだろう。
弱火で煮なければならないから、鍋の中は静かである。

ぐつぐつ音がしていると、
「がんばって煮えてます」

といった雰囲気がただようが、静かな暗い紫色の煮汁の中をのぞいても、何も見えない。
「本当に煮えているんだろうか」

不安になって、何度もしゃもじをつっこんでみるが、いくらやっても柔らかくなっているんだか、なっていないんだか、よくわからない。
最終段階に入って、すでに二時間も経過しているのにだ。

「うーむ」
私はただガスコンロの周辺を、うろうろするしかなかった。

もしかして小豆が柔らかくなるのは、夜中になるんじゃないかと、ますます不安はつのるばかりである。
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ここで私は気がついた。
あんも大切だが、中身の御飯もたかなければいけなかったのだ。

もち米なんか炊いたこともない。
これまた本を見ると、ひたひたの水で炊き、あとはすりこぎで搗(つ)きながら、水を加えて御飯粒同士がくっつくようにする、とあった。

そうかそうかと納得しつつ、とりあえず、小豆はそのままにしておいて、今度はおはぎの中身である。
指示どおりひたひたの水で、もち米を炊く。あっという間に炊き上がった。

ところが、炊飯器の蓋(ふた)を開けてみたら、御飯に芯があるではないか。
「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」

私はまるでいけない物でも見たみたいに、あわてて蓋をして、うーむとうなった。
とにかく芯のできた御飯なんて、失敗もいいとこである。

もう、こうなりゃどうでもいいやと私は適当に芯のあるご飯の上に水をふりかけ、再び炊飯ボタンを押した。
何分後かにスイッチが切れ、おそるおそる調べてみると、見事に芯がなくなっているではないか。
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「あたしも料理に慣れてきたのねぇ」
急にいい気分になり、御飯をボウルに開けて、鼻歌まじりですりこぎで搗く。

だんだんおはぎの中身らしくなってきた。
中身が何とかなってホッとしたとたん、頭の中をかすめたのは、豆である。

横目でちらちらと鍋を確認して見ても、あまり柔らかくなっている気配がない。
中身は完成しつつあるのにだ。

本に書いてある状態になったので、中身はそのまま置いておいて、また豆にとりかかる。
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「まだかなあ」
もともと短気の私は、ちょっといらついてきた。

ヘラで、ぐるんぐるんかき回してみたが、これで柔らかくなるわけでもない。
昔の人は長い時間をかけて、豆を煮たのだろう。

何て気が長い話なんだ。
へらを鍋の中につっこんだまま、私はぼーっと、

「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(ほととぎす)」
といったことばが浮かんできたりした。

豆を煮るには、これくらいの気持ちがないといけない。
しかし今の私は、「鳴かぬなら鳴かせて見よう時鳥」の心境で、もういいや、と半分やぶれかぶれで、とどめの砂糖を入れてしまったのだった。
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これですべて終わりである。
どうわめいても小豆の行く末は決定されたのだ。

しょうがないなと思いつつ、ボウルの中のおはぎに目をやったとたん、私は仰天した。
御飯粒がくっつくように搗いた中身が、岩みたいにかちかちに固まっているのだ。

「どーして、どーして・・・・」
表面は乾き、もちっぽい感じが全くなく、岩おこしのようだ。あせった私は、中身を八等分にして、団子状にむりやり丸めた。

丸めようと思っても、すでに固まった部分もあるので、あられみたいになってしまった。
別の本を読んでみたら、もち米は炊く前に一時間、水につけておくとあるではないか。どうしてくれるんだ。
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「うー」
私はほとんど放心状態で、今度はへらで鍋の中をかきまわした。

水分も減り、あんらしくはなっているのだが、やはり豆が固めなのだ。
またまた私はやぶれかぶれで、がーっと鍋の中をひっかきまわした。

しかしそれでもつぶれない豆が、そこここでしっかとそのまま残っている。

結局、出来上がったのは、つぶあんすぎるつぶあんであった。
ひと口食べてみても、あんの中にちょっと柔らかめのピーナツが混じっているような具合である。

こんなことでは、どういうものになるか、目に見えていたが、まさか、このまま済ますわけにはいかない。
ほとんどやる気が失せたまま、私はふきんの上に、つぶあんすぎるつぶつぶだらけのあんをのせ、それで団子状に丸めたあられみたいな御飯をくるんだ。

いちおう格好はつく。
でもつぶの小豆がしっかと立っていて、おはぎというよりも鹿の子のようなのだった。
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赤い塗りの椿皿の上に、いちおうは「おはぎ」という名の食べ物をのせた。
これで味がよければ少しは救われる。

私は箸を取り、二つに割ろうとした。
しかし・・・・

あまりに固くて、箸では二つに切れない。
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こんなおはぎってあるのだろうか。
おはぎは柔らかく、中身のもちっとした御飯とあいまって、ほわんとした感じのものだが、目の前にあるのは鉄の意思を持ったおはぎなのだ。

箸で切るのはあきらめ、かぶりついた。
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そのとたん、つぶつぶあんが、地震のためにくずれ落ちたビルの外壁みたいに、ドサッと皿の上に落ちた。
落ちても、あんがぺたんこにならないで、はがれ落ちた形のままなのが悲しい。

中身だって、かちかちだ。
私は未だかつて、こんなに歯応(はごた)えのあるおはぎを食べたことはない。

あごと歯のためには、よかったかもしれないが、もう一度、挑戦するかどうかは、もうちょっと考えてから決めたいと思っている。
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  1. 2017/07/21(金) 11:15:50|
  2. 民話・昔話・エッセイetc.
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「ちょっとのんびり おくつろぎの絵」(みんとふぁくとり〜)の別館です。

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